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成形不良

成形不良とは

1.成形不良とは

成形不良とは、プラスチックの射出成形において、成形品自体に外観上・性能上といった点での不良や不具合が発生する事象を指します。
成形不良が発生したままでいると、不良品の検査や廃棄、再び良品を作るための材料・人員・時間といった多くの無駄にも繋がるため、適切な対策が必要です。



─ 成形不良例

成形不良例.jpg

2.成形不良の種類 (原因と対策)

一概に成形不良といっても様々な種類がありますが、主に成形条件・成形材料・製品形状・設備(成形機や金型)が起因しており、対策の傾向も大よそ決まってきます。
以下では、主な成形不良の原因とその対策を簡単にまとめさせて頂きます。
※各成形不良のページには図解や写真も御座いますので、是非ご参照下さい。

《目次》
⑴コールドスラグ
⑵シルバーストリーク(銀条)
⑶ジェッティング
⑷フローマーク
⑸ウェルドライン
⑹ショートショット
⑺ヒケ
⑻ヤケ(焼け・黒点)
⑼ドローリング(たれ落ち・鼻たれ)
⑽糸引き
⑾色ムラ
⑿樹脂漏れ

⑴コールドスラグ

コールドスラグは、冷え固まり固化した樹脂により、ゲート詰まりや製品の外観不良が引き起こされる不良です。金型と射出成形機ノズルの先端が触れた際、放熱による急激な温度低下で、樹脂が固化することが原因で発生します。

固化を防ぐため成形温度を上げる、金型へコールドスラグウェル(固化した樹脂を逃がす溜まり)を設けるといった対策があります。

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⑵シルバーストリーク(銀条)

シルバーストリークは、製品表面へ銀白色の筋のような跡が発生する成形不良です。
成形時、材料に含まれた水分・空気といった物が原因で発生します。

このため、成形前の材料の乾燥を適切に行うことが一番の対策に繋がります。
また、成形機スクリューの動作中に巻き込んだ空気が原因となる可能性もあるため、スクリュー速度を落とす、サックバック量を見直すといった対策も効果的です。

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⑶ジェッティング

ジェッティングは、製品表面に蛇が這ったような跡が発生する成形不良です。
最初に金型キャビティ内へ勢いよく射出された樹脂が固化し、後から流れる樹脂と上手く混ざらず、模様として残ることが原因で発生します。
※最初の樹脂は、歯磨き粉などのチューブを強く握った際の出方に似たイメージです。

樹脂の固化を防ぐため成形温度を上げる、勢いを落とすため射出速度・圧力を下げるといった対策があります。

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⑷フローマーク

フローマークは、製品表面に年輪のような跡が発生する成形不良です。
金型キャビティ内へ射出された樹脂の表面(金型に直接触れた箇所)は冷えやすく、特に温度が低い・速度が遅いといった場合、冷えて固化した樹脂表面が膜(スキン層)として形成され、これが模様として断続的に残ることが原因で発生します。

樹脂の固化を防ぐため成形温度を上げる、ジェッティングとは逆の考え方で勢いを上げるため射出速度・圧力を上げるといった対策があります。

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⑸ウェルドライン

ウェルドラインは、金型キャビティ内へ充填され、固化した樹脂同士の合流部分がそのまま線状の跡となり、製品表面へ発生する成形不良です。

合流する際の樹脂の固化を防ぐため金型温度を上げる、ゲート位置を変えて発生する箇所を調整するといった対策があります。

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⑹ショートショット

ショートショットは、樹脂が金型キャビティ内へ完全に充填する前に固化してしまい、製品の一部が欠けた状態となる成形不良です。製品形状が複雑で末端まで樹脂の充填が不十分な場合も同様の現象が起こります。

樹脂の固化を防ぐために成形温度を上げる、樹脂を押し込むために射出速度・保圧を上げる(保圧時間を伸ばす)といった対策があります。

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⑺ヒケ

ヒケは、成形品の表面に歪みや凹みが発生する成形不良です。
金型キャビティ内へ充填された樹脂が冷え、固化・収縮を起こし、収縮で凹んだ部分へ樹脂がしっかりと充填されないことが原因で発生します。

保圧時間を伸ばして樹脂の充填量を増やす対策の他、冷えによる収縮のバラツキを抑える目的で成形温度を上げる(場合によっては下げる)といった対策があります。

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⑻ヤケ(焼け・黒点)

ヤケは、過剰に加熱した材料が黒色や茶色に焼け、成形品に出てしまう成形不良です。
製品の外観不良はもちろん、物性の劣化にも繋がります。
発生には様々な原因がありますが、温度や型内構造による影響、ガスや空気による影響(ガス焼け)に大別することができます。

このため、温度や射出速度・圧力を下げるといった条件的な対策、ガスベントの設置・型内構造の見直しといった物理的な対策があります。

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⑼ドローリング(たれ落ち・鼻たれ)

ドローリングは、成形機のノズル先端から樹脂が漏れ出てくる成形不良です。
漏れた樹脂が原因で次ショットの軽量にバラつきが生じ、ショートショットの発生にも繋がります。

ノズル内の圧力が高いことが原因で発生するため、サックバックを引き、これを緩和するといった対策があります。

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⑽糸引き

糸引きは、金型の型開き(製品取り出し)時、固化しきらなかった樹脂がスプルー頂点から糸状に伸びる成形不良です。
糸引きした樹脂が製品や金型に付着すると、製品の外観不良や金型を傷つけてしまう可能性もあります。

成形機のノズル温度が高いことが原因で発生するため、ノズル温度を下げる・冷却時間を伸ばすといった対策や、サックバックを引くことで緩和できる場合もあります。

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⑾色ムラ

色ムラは、成形品の色合いに濃淡のムラが出てしまう成形不良です。
成形品の元となる材料ペレットと、プラスチック用着色剤(マスターバッチなど)の混錬不足が原因で発生します。

混練性を上げるため、背圧や成形温度を上げるといった条件的な対策、ミキシングノズル等の混錬部品を使用する物理的な対策があります。

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⑿樹脂漏れ

樹脂漏れは、成形機ノズル・金型(内部に組まれたホットランナユニット)のネジ、勘合部、接触部といった隙間から樹脂が漏れ出てくる成形不良です。
樹脂漏れが発生すると、ヒーターやセンサの断線、ヤケ・バランス不良にも繋がり、復旧作業にもかなりの手間がかかります。

金型の寸法精度、経年的な部分など、様々な原因で起こりうる不具合ですが、自身でメンテナンスを行う際は、各部ネジ・ボルト・勘合部の緩み、シール部品の劣化等が無いか注意しながら見ることが対策の一つとなります。

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導入事例

成形不良対策の各種事例やお客様の声

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2.まとめ

今回は代表的な成形不良について、ご紹介しました。
製品の不良のみならず、糸引きのように金型の破損等に繋がるケースもあるため、早急に対策を行う必要があります。
しかし、各成形不良の対策は相反関係となる物も多いため、上手く不良を抑えることができる条件を探っていく必要があります。
射出速度と圧力で例えると、[上げる(ジェッティング発生)⇔下げる(フローマーク発生)]などを挙げることができます。
また、状況によっては、根本的な金型構造の見直しや、成形不良の対策設備の導入といった物理的な対策を講じるのも一つ手段となります。

解決策 FISAからのご提案

金型側での解決策

ホットランナー化を行うことで、コールドランナー以上に温度や圧力といった成形条件に幅を持たせることができます。これにより、成形条件による不良対策にも柔軟な対応が可能になります

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射出成形機側での解決策

シャットオフノズル(糸引き・たれ落ち防止)・ミキシングノズル(色ムラ改善)2種類のノズルを使用することで不良対策が可能になります。これらのノズルは各種成形機に合わせた貸出品で試して頂くこともできます。

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成形・静電気に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。




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