半導体製造装置の静電気対策

微細化時代の“見えない脅威”
― 半導体製造に潜む静電気リスク ―
5nm・3nmといった先端プロセスでは、ほんのわずかな電位差でも回路を破壊し、歩留まりの低下や信頼性不良につながる可能性があります。
特に次のような製造工程では、静電気によるトラブルが頻発しています。
代表的な静電気リスク発生ポイント
フォトリソグラフィ工程
- レジスト塗布や露光中に帯電が起きると、回路パターンに歪みや欠陥が発生
- EUV露光では、帯電による光学系の汚染や感光材の変質が深刻な問題に
ウェハ搬送・ロボットアーム
- ウェハが搬送中に静電気を帯びたまま次工程へ進むと、内部でESDが発生する恐れ
- ロボットアームやチャック部に静電気が残ると、繰り返しダメージを与えるケースもある
プラズマ工程(エッチング・CVDなど)
- プラズマ処理中に発生する帯電が、ゲート酸化膜の破壊やリーク電流の増加を引き起こす
- 特にFinFETやGAA構造のような極薄絶縁膜では、わずかな電圧でも致命的損傷となる
静電気のダメージは“見えない”から厄介
静電気による損傷は、製造時の歩留まり悪化として顕在化する課題だけではなく、製造直後には検出されず、出荷後の故障(フィールドリターン)として発覚することも少なくありません。
これが企業にとっては、信頼性評価の悪化や顧客クレームの増加といった形で跳ね返ってきます。
静電気除去は「装置設計の初期段階」で考える時代へ
これらのリスクを未然に防ぐには、製造装置そのものに静電気除去機能(イオナイザー)を組み込むことが非常に重要です。 「起きてから対処する」ESD対策ではなく、「起きないように設計する」ESD戦略こそが、現代の半導体製造に求められています。
静電気リスクにどう立ち向かうか──ION BLADEが変える製造現場のESD対策
半導体製造における静電気リスクは年々深刻化していますが、従来の除電装置では装置内部や狭小部への除電には限界がありました。
そこで注目されているのが、装置一体型の静電気除去ソリューション「ION BLADE」シリーズ(フィーサ社製)です。
ION BLADEとは?
ION BLADEは、静電気対策を“装置設計そのもの”に組み込むことに最適なイオナイザーシリーズです。
製造装置と一体化することを前提に設計されており、装置内部の限られたスペースにもスムーズに組み込めることが最大の特長です。
また、従来のように後から対策する際にも設置スペースを取らないため装置レイアウトの変更に影響しずらいです。
わずか数mmという超薄型設計や、エアー不要の省エネ運用、メンテナンスの手間を減らす針なし構造など、ESD対策に求められる機能をコンパクトに凝縮。
製造ラインの信頼性を根本から高める“次世代型イオナイザー”として、多くの装置メーカー・半導体工場での採用検討が進んでいます。
ION BLADE導入による効果
課題 | ION BLADEによる解決 |
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狭い装置内で除電できない | F2なら薄さ1.6mmで装置内部に直接設置 |
異物堆積による針のメンテが課題 | 針なし構造でメンテフリー・クリーン |
除電能力やイオンバランスを最適化したい | LIAC方式で除電性能やイオンバランスを高精度抑制 |
空圧・エアー配管が不要 | 無風接近での使用につき、省配管・省エネ対応 |
未来の“標準”となるESD対策へ
製品の微細化・高性能化が進むなか、静電気対策は製造品質と信頼性の中核となります。
ION BLADEは、「見えない脅威」を装置内部で確実に制御し、より安全で安定した製造ラインを実現します。