シルバーストリーク×シャットオフノズル

射出成形におけるシルバーストリークとは?
原因・対策・改善事例まで徹底解説
射出成形における外観不良の代表例として知られる「シルバーストリーク(銀条)」。
成形品の表面に銀白色のスジ模様が現れ、特に黒色や濃色製品では顕著に目立ちます。 この不良は単なる見た目の問題にとどまらず、歩留まり悪化や再加工コスト増など、製造現場に深刻な影響を与えます。
本記事では、シルバーストリークの原因・対策方法に加え、実際の成形現場での改善事例(フィーサ社シャットオフノズル)を紹介しながら、現場視点での解決策を提示します。
シルバーストリークとは?
シルバーストリーク(Silver Streak/銀条)とは、成形品の表面に現れる銀白色または灰色のスジ状模様を指し、以下のような特徴を持ちます。
- 成形品の流動方向に沿って発生
- 製品機能には直接影響が少ないが、外観検査でNGになりやすい
- 発生メカニズムが複合的で、原因特定と対策が難しい
主な原因とそのメカニズム
原因 | 詳細 |
---|---|
材料中の水分(乾燥不良) | 吸湿性の高い樹脂(PA、PBT、PCなど)では乾燥不足が最大要因 |
樹脂分解やガス発生 | 高温や高せん断で分解ガスが生じ、スジ模様になる |
空気・揮発ガスの巻き込み | 金型内のガス抜き(ベント)構造が不十分であったり、ランナー設計に問題がある場合、成形時に発生した空気が逃げ場を失い、製品表面に筋状の模様(フローマーク)として現れる また、ノズルからの樹脂の垂れ落ちを防ぐ目的でサックバックを行う際、タイミングや量が適切でないと、樹脂内に空気を巻き込み、それが成形時にガス化して外観不良の原因となる |
ノズル先端からのたれ落ち | たれ落ちした樹脂が成形品に流れることで、表面に影響 |
実践的なシルバーストリーク対策
1. 材料管理
- 乾燥温度と時間をメーカー指定値に従い厳守
- リグラインド材の割合を適切に管理
- 材料の保存環境(湿度)にも注意
2. 成形条件の最適化
- 射出速度・背圧・スクリュー回転数を必要以上に上げない
- サックバック量を減らす
- 金型温度を適切に保ち、ガス膨張を抑制
3. 金型・ノズル設計の工夫
- ベント(エア抜き)の追加やクリーニング
- ホットランナーやシャットオフノズルの活用による樹脂管理
【事例紹介】
フィーサ社のシャットオフノズルでシルバーストリークを改善
ある大型成形機の現場で、1300tの大型成形機においてシルバー不良(銀条)が多発。 社内で条件出しや乾燥調整など複数の対策を試みたものの効果が限定的でした。
そこで相談を受けたフィーサでは、シャットオフノズルの導入を提案。以下のようなプロセスで改善が進みました。
◆ 導入背景と工夫
- フィーサのデモ用シャットオフノズルを用意
- 標準品では機械に合わず、成形機用アダプタを新規設計
- 成形機との突っ込み量の不足を補うために延長アダプタを併用
この事例は、ノズル構造が原因となるガス巻き込み・たれ落ちが、シルバーストリーク対策に非常に効果的であることを示しています。
まとめ─シルバーストリーク対策は設備と知見の融合が鍵
シルバーストリーク(銀条)は、乾燥不足や空気巻き込み、ノズル先端の樹脂挙動など複数の要因が絡む複合不良です。材料・条件・金型に加えて、「ノズル」という見落とされがちな部分にも着目することで、改善の突破口が開けます。
フィーサが提供するシャットオフノズルは、こうした現場の課題に対して現実的・低コスト・高効果の解決策を提供します。