パーツフィーダーの静電気対策

パーツフィーダーにおける静電気対策
― 安定稼働と品質向上のポイント ―
パーツフィーダーとは
パーツフィーダーとは、製造現場において部品を自動的に整列・供給する装置であり、組立工程や検査工程の自動化に不可欠な存在です。振動や回転などの機構を用いて、バラ積みされた部品を一定方向に整列させ、次工程へ安定的に供給します。
特に電子部品・樹脂部品・フィルムなどの小型・軽量部品の搬送においては、供給精度が製品品質に直結するため、高い信頼性と安定稼働が求められます。
パーツフィーダーと静電気の関係
パーツフィーダーは、静電気トラブルが発生しやすい環境でもあります。摩擦、乾燥した空気、絶縁体素材の使用により、部品が帯電し、以下のような問題が発生します。
| トラブル内容 | 技術的影響 |
|---|---|
| 部品の吸着、付着 | トレイやシュートに貼りつき、搬送が滞る |
| 部品の飛散 | 計量部品が不規則に動き、位置決め不能 |
| 供給不良 | 整列、振動が妨げられ、装置停止リスク |
| 品質不良 | 静電気放電(ESD)による電子部品破壊 |
これらは歩留まりの悪化・生産性低下・品質保証の困難化を招きます。
静電気対策の技術的アプローチ
1.イオナイザー(除電器)の活用
- 空気中にプラス・マイナスのイオンを放出し、帯電物を中和
- シュートやホッパー上部に設置することで局所除電が可能
- 電子部品・フィルム搬送ラインで広く採用
2.導電性素材・コーティングの使用
- シュートやトレイを導電性樹脂・金属素材に変更
- 表面処理や帯電防止コーティングにより摩擦帯電を抑制
3.アース(接地)の徹底
- フィーダー本体・周辺機器を確実に接地
- 静電気の蓄積を防止し、放電経路を確保
4.環境管理
- 湿度コントロール(加湿器設置)
- 温度・気流の安定化による帯電防止
次世代除電技術「ION BLADE」の革新性
技術概要
ION BLADEは、フィーサ株式会社が開発した面放電型除電素子で、従来の針放電式イオナイザーとは異なり、高密度イオンを全面から均一に発生させる構造を持ちます。
技術的特長
- 設置距離3mmまで対応:近接除電が可能
- 小型・薄型:省スペース・柔軟設計
- 近接設設置可:高効率除電
- メンテナンスフリー設計:電極汚れが少なく、長期安定
性能比較(従来 vs ION BLADE)
| 項目 | 針放電式 | ION BLADE |
|---|---|---|
| 放電方式 | 点放電 | 面放電 |
| 除電ムラ | 発生しやすい | 均一除電 |
| 電極汚れ | 頻繁に清掃必要 | 汚れに強い |
| 設置自由度 | 制限あり | 狭小スペース設置化 |
導入事例と効果
ケース:微細ゴム部材メーカー
- 課題:部材が静電気により貼り付き、搬送不良が頻発
- 対策:ION BLADEを狭小スペースに設置、無風近接で除電
- 結果:ゴム部材が整列し搬送不良が大幅に改善、自動化に貢献
除電の落とし穴:「見かけの除電」に注意
除電器を設置していても、表面電位が下がっているだけで、実際には静電気が残留しているケースがあります。これは「見かけの除電」と呼ばれ、ESD破壊や搬送不良の原因となります。
技術的対策
- 設置位置・角度・距離の最適化
- 風の流れ・イオンバランスの調整
- 定量的な除電性能評価の実施
まとめ:静電気対策は品質と稼働率の鍵
パーツフィーダーの安定稼働と品質確保には、静電気対策の多角的アプローチが不可欠です。 従来技術に加え、ION BLADEのような高性能・省スペース・長寿命の除電技術を導入することで、製造現場の信頼性と効率性を飛躍的に向上させることが可能です。




