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バルブゲートとは?― エアバルブ方式の特長と他方式との比較

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バルブゲートとは?― エアバルブ方式の特長と他方式との比較

はじめに─バルブゲート技術が注目される理由

射出成形において、製品品質・歩留まり・外観の安定性を左右するのが「ゲート設計」です。特に、ホットランナーにおけるバルブゲート方式は、樹脂の流入と停止をピンで精密に制御できるため、ヒケ・糸引き・ゲートマークの抑制に優れた技術として注目されています。さらに、フィーサが開発したエアバルブ方式ホットランナー(VSシリーズ)は、従来の油圧式・電動式に比べて加工の簡略化・コスト低減・色替え性の向上を実現しています。

バルブゲート方式とは

バルブゲート方式とは、射出成形(インジェクションモールド)におけるゲート制御の一種で、特にホットランナーシステムにおいて使用される、金型内のゲート(樹脂の流入口)を機械的に開閉する仕組みです。通常のホットランナーでは、樹脂が常に流れる状態ですが、バルブゲートではピン(バルブ)でゲートを開閉することで、樹脂の流れを制御します。

特徴とメリット

特徴 説明
ゲート跡が小さい ピンで閉じるため、製品表面がきれいになる
糸引き防止 樹脂の糸引きを防げる
多点同時射出が可能 複数のゲートを同時に開閉でき、均一な充填が可能
サイクルタイム短縮 高速成形に向いている
自動化・精密制御 タイミング制御が可能で、成形品質が安定する

エアバルブ方式とは ― フィーサ VSシリーズの革新技術

フィーサのエアバルブ式ホットランナー「VSシリーズ」は、独自の耐熱エアシリンダー構造を採用した画期的なバルブゲートシステムです。

1. 幅広い分野の成形品に対応

ノズルサイズのバリエーションを豊富に取り揃えることにより、大物の成形品から小ゲートピッチの多点金型まで広い分野で、成形品に合わせたノズルをご使用いただくことが可能

2. 美しいゲート外観品質

確実なゲート切れにより美しいゲート品質を実現します。 ゲートサイズ、テーパーシール、ストレートシール、ピストン突出量は用途に合わせて自由に設定が可能

3. 色替え性が良好

デッドスペースを最小化することでヤケ防止、色替え性に優れている

4. 金型の加工を簡略化

独自開発の耐熱エアシリンダを採用することで、取付板への冷却回路、エア供給穴の加工が不要
また、設置するための面精度が必要な加工も最小化し、金型加工を減らすことでコスト削減にもつながる

5. 優れたメンテナンス性

エアシリンダは独立したユニットのため取り外し可能な構造となっており、エア配管にチューブと継手を採用することで、金型のメンテナンスが容易

バルブゲート比較 ― エアバルブ式 vs 電動式・油圧式

項目 フィーサエアバルブ方式 電動式バルブゲート 油圧式バルブゲート
駆動源 圧縮空気(エアシリンダ) 電動モーター 油圧シリンダ
制御性 タイミングコントローラー
で開閉制御
ピン位置・速度まで細かく
制御可能
高速開閉が可能だが
制御はやや粗い
反応速度 標準的 やや遅いが精密 速い(圧縮率が低いため)
メンテナンス性 ユニット構造で
取り外し可能、簡単
構造が複雑で専門知識
が必要
油交換・漏れ対策など
が必要
金型加工 冷却回路・エア穴不要
で簡略化可能
電気配線が必要 油圧配管が必要で複雑
コスト 中程度(導入しやすい) 高価(精密制御のため) 高価(設備・メンテ費用含む)
用途例 多点ゲート・色替え
・外観重視製品
医療・精密部品
・高品質要求
大型製品・高圧成形品
ゲート跡 美しい仕上がり 非常に精密な仕上がり 強力なシールで
安定した仕上がり
色替え性 デッドスペースが
少なく優秀
良好(制御可能) やや劣る(残留の可能性)


各方式の特徴を比較すると、フィーサのエアバルブ方式は、射出成形におけるバルブゲート技術の中で、バランスの取れた選択肢として位置づけられます。
圧縮空気による駆動は、構造がシンプルでメンテナンス性に優れ、金型設計の自由度も高いため、多点ゲートや色替え頻度の高い成形現場に特に適しています。
電動式のような精密制御や高品質が求められる用途には及ばないものの、導入コストや運用のしやすさでは優位性があり、油圧式と比べても環境負荷やメンテナンスの手間が少ない点で現場の負担を軽減します。
総じて、フィーサのエアバルブ方式は、中小規模の成形現場や汎用性を重視する製品群において、コスト・性能・運用性のバランスが取れた実用的な選択肢といえるでしょう。

設計・導入時のポイント

バルブゲート導入時には、ゲート数・タイミング制御・金型厚み・メンテナンス・コストの最適化を総合的に検討することが重要です。

まとめ:フィーサのエアバルブ方式がもたらす次世代成形技術

バルブゲート方式は、外観・寸法精度・歩留まりの全てを高水準で両立できる技術です。フィーサのエアバルブ方式ホットランナー(VSシリーズ)は、金型加工負担を減らし、色替え性・メンテナンス性を高めた次世代システムです。他のバルブゲート比較においても、コスト・設計自由度・保守性のバランスに優れた選択肢として評価されています。


 

 

プラゲートエアバルブ
VS080/VS063/VS025

プラゲートエアバルブVS型では、タイミングコントローラーを用いることで各ゲートの開閉タイミングの調整が可能です。
ノズルサイズやゲートサイズのバリエーションも豊富なため、幅広い分野の成形品に対して、生産性の向上を実現します。

シムゲート
液状シリコンゴム成形装置

液状シリコーンゴムの射出成形金型に組み込んで使用し、FISA独自のバルブ方式でゲートを確実にシャットオフ。ハイサイクル、竪型、インサート成形に最適です。

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