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特注イオナイザーの開発から量産まで

特注イオナイザーの開発から量産まで

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特注イオナイザーの開発から量産まで

株式会社エルクエスト様(以下、エルクエスト)は医療・健康管理・調剤で活用される機器の開発製造を行なう会社である。1948年(昭和23年)の創立から半世紀以上にわたり、その優れた技術力と品質管理体制を活かし、世の 中から求められる製品を数多く生み出し続けている。
また、最近では、キヤノンライフケアソリューションズのグループ会社として、より優れた機器を実現する為に更なる高度な技術を探求し続けている。

今回は、主力製品の1つ、自動薬剤分包機への静電気対策について、製品開発責任者の川野辺様と上司の林部長に開発時の状況について、インタービューにご協力いただきました。

The outline of a project

課題

薬剤分包機の開発後期に、薬の錠剤が搬送経路途中で遅れるなど、分包が不安定になる現象が発生。原因を追究した結果、静電気による不具合であることを確認。製品リリースまで期間がなく、短期間で半完成している装置へ組込めるイオナイザー(静電気除去装置)を製作出来るメーカーを探していた。

提案

薬剤分包機の設置スペースにマッチした、ION BLADE(フラット電極)タイプをご提案。
数パターンの全く違う形状の試作品にて、トライアンドエラーを繰り返しながら、両者で最良の効果が発揮 出来る形状を探っていった。

効果

わずか、4ヶ月で開発、試作、量産までを完了。搬送の遅れを大幅に減らす効果を確認。
また、放電針タイプの既存製品と比較し、採用したION BLADE(フラット電極)タイプはメンテナンス回数も少なく、ランニングコストの削減にもつながった。
新製品の薬剤分包機は、2012年11月以降毎月好調な売上を続け、ヒット商品となっている。

プロジェクトの経緯

2010

展示会でFISAの製品と出会う。

2012

6月

FISAに採用決定!

8月

共同開発スタート。

10月

製品リリース。

現在

次回リリース製品に向けて目下開発中。

FISA

この度は、ION BLADE(フラット電極タイプ・静電気除去器)のご採用ありがとうございます。ご採用をいただいて約2年となりますが、その後いかがでしょうか?
おかげさまで、薬剤分包機は非常に好評で、当初計画よりも売上も好調に推移しています。課題だった静電気による錠剤の遅れも、大きく減らすことが出来、ひとまず安心しております。

エルクエスト


限られたスペース、納期、価格への対応

新しく開発した薬剤分包機を、モニター参加型の市場調査を行ないました。ところが、本来入るタイミングで、錠剤が搬送されないため、不良が発生しました。原因を追究した結果、搬送経路で錠剤が機器に張り付く現象を確認しました。その時初めて「静電気」が原因だと分かったんです。そこで静電気対策メーカーを探すことになりました。
最初は「除電ブラシ」を検討しました。以前、他製品で検討したことがあり、これで解消されるだろうと想定していたのですが、期待した効果が得られませんでした。そこで、大手メーカーのイオナイザーを複数購入して、試したところ除電ブラシよりも効果があることが分かりました。

エルクエスト

FISA

何故、その大手メーカーのイオナイザーではなく、弊社の製品をご採用いただいたのでしょうか?
薬剤分包機は、ほぼ完成している製品でしたので、後から限られたスペースに設置出来ることがイオザイザー選定の前提条件でした。大手メーカーは、標準品のみの対応で、スペースの問題が課題となっていました。
更に、リリースの日時も迫っており、短納期で対応をしてくれるかどうかも大きな課題でした。
そんな中、他部署からフィーサさんを紹介してもらい連絡をしたところ、すぐに飛んできてくれました。そしてスペースを確認。その場でいくつかの対応案のご提示をいただきました。スケジュールもその場で開発関連部署と調整を行い、「何とかします!」と断言してくださいました。あの時は、本当に助かりました。

エルクエスト

FISA

さすがに量産納期まで4ヶ月は厳しかったです。他にもご採用いただいた理由はありますか?
もちろんあります。それは、「メンテナンス頻度」です。
大手メーカーの放電針タイプのイオナイザーは、電極を1本ずつ清掃しないと満足のいく効果が続かないことは、今までの経験で分かっていました。
これは、当社の製品をお客様に納品した後、メンテナンスを頻繁に行なわなければならないことを意味します。
今回イオナイザーが設置された箇所は、お客様自身で清掃を出来るところではありません。
せめて当社のメンテナンススタッフが訪れるペースに合わせられないか?ということも条件として上がってきていました。
これに対して、フィーサさんのイオナイザーは、放電針タイプではなく、フラット形状の電極の「ION BLADE」という製品でした。「半年から1年程度は、メンテナンスをしなくても大幅な効果ダウンはありません。」と回答をいただいたんですね。
これが最終の決定打となり、フィーサさんにお任せすることになりました。

エルクエスト

わずか4ヶ月の短期決戦、共同開発で難題を克服

FISA

イオナイザーの共同開発中に、ご苦労された点はございましたか?
実際の開発では、最大限効果を上げるためにはどうすればよいのか?試作品を何パターンか製作していただき、実機に設置し、効果が得られる方法をフィーサさんと一緒に探っていきました。
更にコストを下げる為には、どうしたら良いか?もトライアンドエラーを繰り返しました。
これは社内的な問題ですが、「開発費用」も課題となりました。
量産の発注が確定していない段階で、無償で初期試作の対応をしていただいたり、フィーサさんにはかなりご無理を言ってしまったと思います。

エルクエスト

FISA

開発期間が夏だったので、再現検証にも苦労しましたね。
そうなんです。夏場だと湿度が高い日が多く、静電気が発生しづらい為、社内で現象を再現出来る環境を整える必要がありました。その際も、フィーサさんのアドバイスで何とか環境を整えることが出来ました。
また、フィーサさんの所有しているイオン測定器など、計測機器もとても役に立ちました。
錠剤がどの程度帯電しているのかわかることで、エラー原因も突き止めやすくなり、短期間での開発にもつながったと思います。

エルクエスト

新製品へのION BLADE搭載も検討

FISA

今後の展開についてお聞かせください。
今回は、短期間での開発となってしまいましたが、今後は開発初期から、静電気問題に関してアドバイスをいただきながら、開発を行いたいと考えております。
薬剤分包機ももちろんですが、他製品の静電気対策もご協力をいただけたらと考えております。
実は、1機種新しい製品への搭載を相談しています。

エルクエスト

FISA

新しい製品向けで開発しているイオナイザーは更に特徴のある製品になりそうです。今回はお忙しい中、インタビューのご協力ありがとうございました。今後も宜しくお願い致します。


株式会社エルクエスト
WEBサイト http://www.elquest.co.jp/
事業内容 各種医療機器・健康機器・精密機器及び付属品・ソフトウェアの製造販売
主要製品 薬剤自動分割分包機・自動錠剤供給装置、薬局業務支援ソフトウェア、医用電子血圧計/多目的モニタ、体脂肪計、健康関連機器、過酸化水素ガス滅菌器、等



キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
WEBサイト http://www.canon-lcs.co.jp/
事業内容 各種医療用機器・システムおよび消耗品の販売・各種健康機器・システムおよび消耗品の販売
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